六章 あるべき場所へ

祈りと背徳

 昨日の夜遅くに雨が降った。ブレイヴが白の間を出てすぐだった。
 雷を伴ったその雨は北の嵐さながらに王都を荒らして、けれども明け方には何もなかったかのように止んでいた。だからあれはきっと、罪を洗い流すための雨だったのだと、ブレイヴはそう思った。
 王都マイアよりやや南、マイア平野にはたくさんの天幕が残っている。
 最初に引きあげたのはルダ。まだ少年の公子は王都に来たのがこれがはじめてだったのに、姉の声には逆らえなかったようだ。王の謁見のあと、慌ただしくここを発ったものだから、ブレイヴも彼らとは会えず仕舞いだった。互いの無事を喜び合い、苦労をともにしてきた同志と喜びを分かち合うことのないまま、らしいといえばそうなのでブレイヴも彼らの無事の帰還を祈ることにする。
 次いでグランの竜騎士たち。飛竜の数は二十にも満たなくとも彼らは目立つ。なにしろ巨大な竜が暴れ回ったあとだ。何よりも馬よりも大きい生きものにはとにかく飼料が要る。無駄に長居をするのは馬鹿のやることだ。レオンハルトは短い挨拶だけで済ませた。
 ウルーグのエディも西へと帰って行った。借りていたフォルネの剣は彼に託したので、フォルネの王ルイナスの元に戻るだろう。クレイン家、並びにそれに関連する者たちはしばらく王都マイアに留まるという。拝謁の赦しを待っているのだろう。主人を失ってもなお戦いつづけたオルグレム将軍の麾下たちは、進むべき道を思案している。彼らに掛ける声をブレイヴは迷っている。
 正午を過ぎれば肌を焼く陽射しが一層強くなった。
 暑い日になりそうだ。
 天幕のほとんどがすでに片付けられていたものの、褐色の肌をした戦士たちが忙しなくしている。聖騎士の姿を認めると、笑みはなくともしかし目顔で奥の天幕を教えてくれた。武器を積むのも糧食の準備もほぼ終えたのか、馬丁が黒馬に餌をたっぷりとあげている。目が合うと馬丁は戦士の挙措をした。まだ少年でもしっかりとイスカの大剣を佩いている。借りたものを返せなかった。まずはそれから詫びよう。気にするな。豪快に笑って、それからブレイヴの肩をちょっと痛いくらいにたたく。きっと、シオンならそうする。イスカの獅子王もブレイヴを許してくれる。
 友へと返せるものが他にもなかったかと、ブレイヴは考える。セルジュはとっくに動いていたし、それでもシオンが素直に受け取ってくれたかどうか、ブレイヴにはわからない。大事にするなと怒ったのかもしれないし、国と国とを交えたとなると白の王宮も黙ってはいまい。だからこれは、去りゆく友への餞別だ。ラ・ガーディアを発ったそのときに、スオウやエリスがしてくれたこと、それとおなじようにブレイヴもしただけだ。
「まったく、イレスダートは暑くてかなわん」 
 会口一番がそれだったので、ブレイヴはちょっと笑った。
 イスカにいたときに、シオンはいつも紫の長衣を纏っていたが、今日はそれを外している。イスカの太陽の陽射しからも、冬の芯から身体が冷える寒さからも守ってくれる長衣もイレスダートではただ邪魔らしい。何がそんなにちがうのかと言いかけて途中で納得する。雨の少ないイスカとイレスダートでは湿度が異なるのだ。他のイスカの戦士たちも皆おなじくらいに軽装だった。
 シオンの息子の姿は見えない。またとない機会となるのならと、王都を見物しているのだろう。シオンがここに留まっているのはブレイヴを待っていたからだ。
「悪いが、これがイスカのやり方でね」
 声色には詫びるような感情は一切なかった。たしかにそうだと思う。イレスダートの常識が他国でも通じるかどうかなんて、そんなものはただの押しつけだ。
 天幕へと入る前にブレイヴはひと呼吸を置いた。いずれそういう日が来るのかもしれない。オリシスが動き出したときからブレイヴは覚悟していた。けれども、ちゃんと相対できるかどうか、その勇気は必要だった。ブレイヴはオリシスから逃げたのだ。忘恩の徒を前にして騎士が抱く感情はひとつだけだ。
 ブレイヴと入れちがいにイスカの戦士が二人出て行った。
 一人は中年の女で、もう一人は年若い青年だった。世話役の女ならば一人いればいい。けれども、もう一人が必要だったその意味をブレイヴはすぐに理解した。
 そこには若い娘が横たわっていた。一目で俘虜とわかる扱いだった。ざんばらに切られた赤髪も纏った軍服も、血と泥でひどく汚れていた。両の手足は縄でしっかりと括られているために自由は利かない。目立った外傷は見えずに、だからあれは他者の血で染まったのだろう。たしかに、ブレイヴと擦れちがい様に世話役の女は物言いたげな目顔を寄越した。暴れ狂う者を傷つけずに抑えるのはさぞ難儀したはずだ。
「起きろ」
 シオンが靴先で娘の顎を突く。娘は呻くだけで他の反応はなかった。シオンはため息をし、今度は娘の胸倉を掴んで無理に起こす。自らの意思で眠っていたようには見えない。先ほどから強い香草のにおいがしているのはそのためだ。ブレイヴは歯噛みする。苛立ちはシオンや他のイスカの戦士に向けてではなく、自分自身にだった。
「起きろ。客人だ」
 娘はようやく目を開き、シオンを見た。言われるがままにしているのは、抵抗が無駄だと悟っているからか。シオンは異国の娘に微笑み、そうして視線でブレイヴへと誘導した。ほとんど無気力だった娘の瞳に、激しい感情の色が宿る。それは、怒りだった。
「アストレアの、聖騎士……!」
 娘の手足を縛るものが何もなく、それから剣が与えられていたならばブレイヴは死んでいた。シオンが上から娘を押さえつける。何の遠慮もない強い力で、けれども娘は暴れている。
「シオン」
 名を呼ばれて目を向けたものの、戦士は力を緩めなかった。ブレイヴはもう一度、言う。
「シオン。彼女を離してやってほしい。それから、ふたりにしてくれないか?」
 懇願と言うよりは命令に近く、だからこそ従う義務はないとシオンは笑む。
「正気とは思えない。この小娘はいまにもお前の喉元に食らいつくぞ。聖騎士はそういう趣味を持っているのか?」
 揶揄でも脅しともちがう。本気だった。ブレイヴも笑みで応える。正気じゃない。シオンは二度言った。
「主がこれだと、セルジュもさぞ苦労するだろうな」
 否定をするつもりはなかった。軍師がここにいたならおなじ声をしただろうし、限界を待たずに騎士を迷わず殺す。軍師はオリシスに恩と借りがあった。かつてアルウェンはセルジュを許してくれたが、妹でも関係がないと、そう言う。
 短刀で縄を切って娘を自由にする。そのあとはブレイヴと目も合わさずにシオンは出て行った。沈黙を破ったのは娘の笑い声だった。まるで呪いのようだとブレイヴは思う。そういう目を、ロアはブレイヴに向けている。
「憐れみのつもりか? それとも贖罪のつもりか?」
 どちらでもない。ただ、騎士と対等に話をするためには必要だった。
「オリシスの騎士たちは国に返した。けれど、数名の麾下たちはまだ残っている。あなたを、待っている」
 ロアは瞬きも、うなずきもしない。
「陛下はオリシスに礼節を守っている。あなたもそれに応えるべきだ」
 いまのロアは騎士でも公女でもない、ただの俘虜だ。しかし、イスカのシオンは娘を白の王宮へと託してくれた。アナクレオンは真摯に応える。そして、ブレイヴを正しき道へと導いてくれる。
「恩情を受け取れば咎めはしないと、そう言いたいのか? 筋違いだな。私がマイアのために戦っていたとでも?」
「あなたの望みは私の命か?」
「首肯すれば、その首を差し出してくれるのか?」
 騎士を憐れに思ってはならない。あの緋色の瞳に映っているのは、綺麗な人間なんかじゃない。ロアにはきっとブレイヴが悪魔か死神に見えているのだろう。そのとおりだと思う。身の潔白を証したところで瞳に宿る炎は消えない。それに、真実を己の口から語らずともロアはもう知っているのではないかと、ブレイヴはそう推測する。
 オリシス公アルウェンは殺された。
 最後に目撃したのはブレイヴだった。しかし、あれが人間の所業かどうかなんてロアはとっくにわかっている。騎士を変えてしまったのは怒り、いや悲しみの方が大きい。
 ブレイヴはまっすぐに娘を見る。当たり前だ。突然に肉親を失えば誰だって心が壊れる。けれど、と。ブレイヴは口のなかで言う。あなたはそんなに弱いひとではないはずだ。
 祈りを口にしているみたいだ。自分はそれほど饒舌なたちでもなければ、敬虔なヴァルハルワ教徒ともちがう。都合のよいときにだけ神を頼る、まさしく異端者だ。けれど、救われるためにはどうすればいいのだろうか。ブレイヴは考える。きっと、騎士の望むようにしてやるのが一番早い。誰が悲しむかなんて知らないふりをすればいい。幼なじみやテレーゼ、それからシャルロットよりも先にアルウェンの顔が見えた。ブレイヴは祈ることを止めた。
「あなたの剣を返す。そこから先は自分で考えればいい。でも、俺は殺されるつもりはない」
 ロアはふたたび笑った。乾いた笑い声が天幕の外まで届いている。そろそろ誰かが駆け込んでくる頃だ。
「言っていることがおかしい」
 もの狂いを見る目をロアはする。そのとおりだと、応えるべきなのかとブレイヴはちょっと迷った。
「たぶん、簡単に殺せる。きみが思っているよりも、ずっと簡単に」
 殺されるつもりもないくせに、ブレイヴはそう言った。










「お帰りなさいませ、兄様」
 フランツを最初に迎えてくれたのは一番下の妹だった。
 いつのまにこんなに大きくなっていたのだろう。末妹が生まれたときにフランツはこの家にいなかった。はじめて顔を見たのもとっくに百日が過ぎていたし、次に会ったときには末妹は喋り出していた。
「いまはダリアが見頃ですのよ」
 居館へと行くあいだに妹が庭園に色づく花を紹介してくれる。エルマン家の庭師自慢の庭園だ。
「でも、今年はちょっと早いみたい。いつもはもうすこし後に咲くの。赤い色も紫の色も綺麗でしょう? 私は橙の色も好き。ね、素敵でしょう?」
 丁寧にひとつ一つを説明してくれるのだが、花に一切の関心がないフランツにとってはどれもおなじ丸い花に見える。
 そのあとも妹のおしゃべりは止まらずに、フランツは調子を合わせるのに苦労した。あの花はね、女の方への贈りものにぴったりですの。兄様も好きな人がいるでしょう? お土産に届けたらきっと喜んでくださいますわ。あ、でも宝石の方が嬉しいのかしら。ごめんなさい。私、あんまり宝石には詳しくないの。姉様たちもそうでしたけど、私には馴染みがないの。そう、私たちには母様が残してくれた真珠の首飾りだけで十分。
 応接室に着くまでたっぷり小一時間は掛かっただろうか。
 エルマン邸には執事や侍女がたくさん控えているものの、どうもこの妹はじっとしているのが苦手なようでお茶の用意をすると言って、フランツ一人を残して去って行った。
「ああ、兄上。お待たせして申し訳ありません」
 息つく間もない。次いで再会したのはエルマン家の次男だった。
「いや、いまここに来たところだ」
 弟が苦笑したのはフランツが気遣いの声で返したのだと、誤解したためだろう。
「前に兄上にお会いしたのは、秋がはじまる前でしたね」
 そんなに前になるのかとフランツは記憶を辿ってみる。ちゃんとした休暇を取ったのは一年ぶりで、少なくともこの家に帰った覚えはなかった。
「私はいまでも白の王宮へ行くと緊張しますよ」
 そういうものなのだろうか。弟はフランツに代わってエルマン家を継いでくれて、妻子とともにこの家を守ってくれている。家を空けてばかりのフランツにしてみれば、白の王宮の方が自分の家みたいなものだ。脱ぎっぱなしの軍服、洗っていないコップ、机の上には山となった羊皮紙の束。フランツの執務室を開けるたびに扈従が悲鳴をあげる。
「でも、兄上ももっと早くに言ってくださればよかったのに」
 急に責められているような気分になって、フランツは弟から目を逸らす。
「すまなかった。知らせを使わせたはずだが」
「ええ。昨晩に」
 本当はまだしばらく白の王宮に留まるつもりで、しかし王命とあらば騎士は従う他はなくなる。何を返しても言い訳みたいになるので、フランツは唇を閉じる。
「妹たちも兄上を案じておりました。早く知っていたならば帰ってきましたよ」
「いや、いい。皆には他の家族がある」
 エルマン家の長女は王都マイアの名家に嫁いでいる。大貴族同士の結婚だった。近くにいるとはいえ余所に行った妹だ。それに幼子を二人も抱えて戻るのは大変だ。
「皆、元気にしております」
 エルマン家には六人の兄妹がいる。この弟と末妹、嫁いだ長女の他には次女と末弟が。このあとの晩餐でそろうのは末弟だけだ。
「あれは息災か……?」
「ええ、とても。幸せそうですよ」
 次女のことだ。そもそもエルマン家にはいまこの兄妹たちしかいない。子どもを六人も産んであれほど元気だった母も、風邪をこじらせてあっさり逝ってしまった。騎士だった父は戦場でその誇りを守った。聖騎士だったのは父の兄だ。老いても強く勇敢だった聖騎士は、しかしフランツが白の王宮に入って数年後、聖騎士の称号を譲った。それ以降、フランツはほとんどここには戻らなくなる。次男が成人するまでエルマン家を支えてくれたのは父の六つ下の弟で、叔父はいまもあれこれとエルマン家の子どもらの世話を焼く。
 長女は叔父に言われるがまま嫁いでゆき、次男にも妻子がある。けれども次女だけは縁談にどうしても首を縦には振らずに、そのうちフランツはエルマン家に呼び戻された。兄妹の誰かの大事でしたらどうするおつもりですか。白騎士団副団長のカタリナにこっぴどく叱られて、仕方なしにフランツは帰ってくる。ええ、それはもう大事です。エルマン家はじまって以来の。叔父と弟はフランツに捲し立てた。
「あのときはずいぶんと大人気ない声をしたものですが、いまはちゃんと反省をしておりますし、結果的には良かったと思っていますよ」
 弟の瞳に偽りの影は見えない。次女はおなじ大貴族の妻になるよりも、幼き頃から自分の傍にいてくれた扈従を選んだのだ。フランツは泣きながら訴える妹たちの声をそのままにきいた。
 噂は白の王宮にも届けられて、あの堅物の聖騎士殿は殊の外身内には甘いなどと揶揄されたものだが、事実とは異なる。単に面倒だったのだ。フランツの性格をよく知っているカタリナは、この情のない男に複雑そうな目をしただけだった。あれが、どういう意味だったのか。けっきょくフランツは知らないままでいる。
 晩餐も終わりへと差し掛かろうとした頃に、末弟がしきりにこちらへと視線を寄越してくるので仕方なくフランツは問うてみた。末弟は恥ずかしそうに俯いた。
「兄上は、あの竜と戦ったのでしょう?」
 彼を咎める声が重なった。次男と末妹だ。だって、でも……と。末弟は情けない声を出す。
「構わない。……お前たちも見たのか?」
 兄妹はそろってうなずいた。エルマン邸は王都マイアの南にあるため、ここ以上に安全な場所はなかった。一般の市民は士官学校へと逃してあったが、あらかじめ他の諸侯らをエルマン邸に誘導させたのはフランツだ。巨大な獣はその足で大地を揺らし、それから咆哮をつづけた。だから彼らは嫌でも何が起きていたのかを、その目で見たのだろう。
「兄上は立派です。だって、あの竜に勝てたのですから」
「私一人の力ではない」
 純真な瞳だ。末弟の目はいつまでそうあるのだろうと、フランツは思う。士官生になって次の年には戦場へと行く。弟はそこでこの世界が綺麗なものだけでできていないと知るのだろう。
「まあ、でもそうですね。兄上は王都を守ってくださいました。それに、もう一人の聖騎士からも」
 グラスを机上へと戻せば、その音がやや乱暴にきこえたのかもしれない。饒舌につづけるはずの次男の声はそこで止まった。フランツはため息をする。彼らは何が真実であったのかを知らなかったし、理解するのはまだ先だ。
「そういう物言いをするものではない」
 兄妹たちの視線から逃れるように、フランツはそこで席を立った。
 その翌日、フランツは兄妹たちにちゃんとした挨拶をしないままエルマン家を去った。次男は怒るというよりも、おそらく呆れただろう。しかし、これでいい。足りないところは叔父が見てくれる。叔父が逝ったあとには次男もエルマン侯爵として独り立ちしている。そんな遠い未来のことまで想像して、フランツは自分がおかしなことを考えていると現実に戻った。
 訪れたローズ邸では伯爵には会えなかった。伯爵は昨年の秋頃に体調を崩し、以来屋敷に籠もっている。娘が失踪してからはずっとそうだった。伯爵には元老院としての役目があるはずだが、いまの彼に無理強いは酷であると、アナクレオンもそう言う。
 ローズ邸を出たフランツは次にするべきことをしばらく悩んだ。
 なにしろ一年振りの休暇だ。とはいえ、これまでの休日も途中で扈従がフランツを呼びにくるものだから、まともに一日を休んだことはなかったように思う。必要な買いものにしてもカタリナがすべて済ませていてくれた。彼女こそいつ休んでいるのだろうとフランツは尋ねたことがあったが、カタリナは笑って返すだけだった。
 名家の娘が馬車に乗り込むのが見えた。浅葱色のドレスを着て、髪の毛も綺麗に纏めあげている娘はこれから婚約者のところへと行くのかもしれない。カタリナ・ローズは晩餐会でもドレスではなく纏うのは白の軍服だった。あの人間に化けていた竜――竜人ドラグナーは竜の力を取り戻すために人を喰らったのだという。若い娘の臓器は獣にとってご馳走だ。なぜ王がそんなことを知っていたのか、しかしフランツには主君を疑うという選択肢は存在しない。ただ、カタリナが生贄になったとは思えず、いまも彼女の存在を信じている。
 叛乱軍討伐の王命を受けたときから、行方不明者の捜索は打ち切られていた。
 フランツはカタリナを探そうとする。けれども、最初にどこへ向かえばいいのかわからなかった。彼女が好んでいた花も知らなかったし、行きつけの店だって思い浮かばなかった。いなくなってからはじめて思い知る。フランツはこの感情に蓋をする。親も周囲も皆が止めたのに、なぜ彼女は聖騎士の道を選んだのだろう。フランツだっておなじ声をした。あのとき、彼女は笑っていた。
 
 

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